コロナ禍の無常観

 なかなか終息しないまま第8波が到来しているようです。ある調査でコロナ禍における価値観の変化として無常観が増加もしくは定着したという結果がありました。現代の生活が意外と脆く儚いものであるという認識が強まったのではないかと思います。まさか未知のウイルスの流行が世界中で3年間も続くとは誰も思わなかったことです。


 コロナ禍により今まで当たり前だったことが制限されるようになりました。不自由な生活を強いられ、生活や将来に対する不安も増大しました。無常感も増大するのは自然なことだと思うのですが、そもそもこの世界は無常なる世界なのです。人類は文明の発展によってそのことを忘れていただけなのです。


 仏教は無常を根底においています。いわば仏教の出発点なのです。この思うようにならない世界で、いかにおだやかに暮らすかが仏教なのです。コロナ禍が社会や生活を見直すきっかけになればと思うのです。けして煩悩と戦うだけが仏教ではありません。思うようにならない人生を受け入れ、それを楽しむこともまた仏教なのです。