儚くとも豊かに

 人生の歩み方はそれぞれで良いと思うのです。目標に向けて懸命に走り続ける人、急ぐことなくのんびり歩む人、遠回りしながら景色を楽しむ人など、人により年代により環境により様々です。大切なことは自分なりの信念や哲学を持つことだと思うのです。それは後悔しないためのものです。他者と比べて自分の人生を考えれば、優越感や劣等感や後悔が生まれてくるものです。


 自分が納得できれば、それで良いのですが、周囲と比較することで自らを苦しめてしまうことがあります。「隣の芝生は青く見える」といわれるほど、周囲が気になり良く見えるものですが、自分を捨てることも、誰かと人生を交換することもできません。与えられた条件と環境のもとで、しっかりと自分の人生を生きるしかないのです。


 ただし、身勝手な自己満足ということでは、人生が豊かになることはありません。謙虚に自らの人生と向き合ったうえでの納得でなければならないのです。「自分さえよければ」という人生ではなく、周囲の評価を求めるでもなく、「何を大切にして、どのように生きるのか」という自分の価値観を大切に、儚い今生の世を豊かに歩みたいものです。