お盆だからこそ

 まもなくお盆を迎えます。春と秋の彼岸は自らの修行というのが本来の意味合いですが、お盆はご先祖様の供養のための期間です。お墓に行ってご先祖様をお迎えして、家では家族や親戚が集い、それぞれの近況などを報告し、感謝の祈りを奉げます。テレビ番組で有名人のルーツを探る企画がありましたが、ご先祖様は無数に広がっていくものです。そのなかの一人でも欠けていれば、今の私はなくいただいた命のバトンに感謝しかありません。


 家族の凄惨な事件はなくなるどころか、かえって増加しているように感じられます。会社ならば退職でき、夫婦ならば離婚できますが、親子関係は切れるものではありません。昔ならば勘当や絶縁といって親子関係を切ったと公言することがありましたが、本人がいかに切ったといっても切れるものではありません。親子関係は育てられて介護してと関係も年々変わっていきますから難しいものです。


 朝ドラでは結婚を機に親子関係が改善しましたが、現実社会では様々な親子の問題があり、簡単には解決されないままになっているほうが多いのではないかと思うのです。関係が近いほど、一緒にいる時間が長いほど、甘えてしまうほど、問題も複雑になるものです。家族の問題こそ、人生における最大の課題であり、それを乗り越えることができれば、他では得られないほどの成長がもたらされるのかもしれません。ご先祖様が帰ってくる、この時期にこそ家族の「ありかた」についても考えてみたいものです。


次回は8月19日から再開させていただきます。ご愛読ください。