実修実証

 当山は真言宗の醍醐派に属しております。醍醐派は弘法大師空海を宗祖として仰ぎ、弘法大師の孫弟子にあたり醍醐寺を開山された理源大師・聖宝を開祖とします。また、修験道役行者神変大菩薩をも祖とし修験道密教を融合し現在に伝えている宗派です。理源大師は「実修実証~入りて学び出でて行なう」という教えを残しておられます。山伏は山中を仏の胎内と考え修行をおこない、下山しては日常生活に戻ります。山中での修行によって会得したものを、日常生活に行動として還元していくのです。それは自分ばかりではなく、周囲や社会をも教化・感化していくものでなければなりません。そのための修行なのです。


 人生において大切なことは実修実証の言葉が示すとおり、身をもって体験し学んでこその智慧なのです。他所から借りてきた言葉では、正念場の自分を支えてくれることはありません。親や先輩からいかに事前に警告されても、自分で失敗してみないと、言われていたことが分からないものです。私達は階段をのぼるように、ひとつひとつ自分の目と心を確かめながら進んでいかなければならないのです。