良縁と悪縁

 人間は一人では生きることができませんから、社会生活とは関わりの生活でもあります。人と人との出会いは縁なのですが、良縁となることもあれば悪縁となることもあります。最近は良縁を求めることよりも、悪縁を切りたいという願望を耳にすることが増え、そのようなご利益の社寺仏閣も登場しています。人々の願いに寄り添うことも宗教の務めなのですが、せっかくの出会いを良縁にしていただきたいと思います。


 出会いによる化学反応は不思議なものです。お互いの存在がプラスになることもあればマイナスになることもあります。そして人によってプラスになる人もいればマイナスになってしまう人もいます。相性という言葉の奥深さを感じます。どうすれば良縁となり、どうすれば悪縁を避けられるのでしょうか。お互いに甘える自堕落な関係は自分の責任を放棄することからはじまります。お互いに憎しみ合う関係は相手への尊敬を放棄することからはじまります。


 良縁とは良識と慈悲をもって育むものだと思うのです。植物も手をかければ美しい花が咲きますが、人間関係も手をかけるからこそ美しい関係が築かれるのです。手をかけなければ植物も人の心も枯れてしまいます。安心することなく適度な緊張感のもと切磋琢磨や信頼関係を築きたいものです。人間関係も生き物です。いつまでも同じということはありません。お互いの変化に柔軟に対応しながら、お互いに良き方向へと向かいたいものです。