自業自得の難しさ

 仏教用語であった自業自得ですが、今では一般的に使われるようになっています。この言葉はどちらかといえば自分で使うよりも、誰かに向けて使うことのほうが多いのかもしれません。幸運は周囲に感謝し、不幸は自分の責任だと思いなさいと聞いたことがありますが、なかなかそうは思えないものです。普通は逆に考える人のほうが多いのかもしれません。それ故、自業自得にも自分への反省ではなく、相手への評価として使ってしまいます。


 自分のことは自分が一番分かっているはずなのに、実際はそうでもないのかもしれません。自分や家族に対しては冷静で客観的な判断や評価は難しいものです。どうしても甘くなってしまうため、正しい判断や行動ができないということもあります。ですが、自業自得にの言葉が教えるように、自分の問題や課題を理解できなければ、変わることも成長することもできません。


 自分でちゃんと考えることができなければ、誰かに指摘してもらう必要があります。「あなたは、ここを改めなさい」とか「あなたの、ここが周囲に迷惑をかけている」といったように、自分で気づけなければ教えてもらわなければなりません。ところが人間は厳しいことを言う人間から逃げようとします。ですが、あえて厳しい人を師として大切にすることで、自分という人間を理解し正しく成長していくことができるのです。