豊かさとは

 日本は戦後復興より今日まで豊かさを求めてきたのか、それとも便利さを求めてきたのかを考えなければなりません。昭和は豊かさと利便性が同じであったように思います。働き便利な家電や車を持ち、家を建てることが豊かさであり幸福の条件とされていたのかもしれません。この価値観はシンプルであり、誰もが実現可能であり、国を挙げて物質的な豊かさを追求しました。


 ですが物質的な豊かさのピークを過ぎれば、また生まれた時から便利で快適な生活を享受してきた世代が増えれば、ことさら便利な生活を求めなくなります。そのため企業は高付加価値のブランド化によって消費社会の継続を図ります。また消費生活に魅力を感じなくなった人々は精神的な充足を求めるようになりました。様々な趣味の個性化や宗教やスピリチュアルが注目されるようにもなりました。


 今後、求めるべきは便利な生活ではなく豊かな生活だと思うのです。求められることは便利さと豊かさの違いを理解することです。利便性の追求は表面的なものであり、心の充足があってこその幸福だと思うのです。いくらゲームをしても旅行に行っても、その行為だけでは満たされません。その行為に何がつながっているのかが大切だと思うのです。今後は社会のブームや価値観に流されることなく、自分なりの豊かさを求めていきたいものです。