卒婚という言葉が登場しました。なんでも離婚はしないまま、夫婦それぞれが独立した生活を送るのだそうです。夫婦がお互いに縛られず自由に生きるためライフスタイルの選択ということです。今時の言葉を並べてみると聞こえは良いのですが、離婚まではしたくないが、今の生活には満足できないという中途半端な生活に思えてしまいます。
もっと自由に生きてみたいという願望は多くの人が持っていると思います。しかし、秘かな願望として心の奥底にしまってあるものです。私はしまっておくだけで良いと思うのです。不自由だからこそ自由を感じることができます。毎日仕事に行くからこそ休日がありがたいのです。不自由だと思うこと、面倒だと思うこと、理不尽だと思うこと、こういったことがすべてなくなれば人間は幸せになれるのかといえば違うと思うのです。
人間は様々な制限のなかで生活するからこそ楽しみがあり喜びがあるのです。楽しいことばかりでは、かえって楽しくはなくなってしまいます。最も尊いのは報われた喜びだと思うのですが、苦労が大きいほど喜びも大きくなります。人の営みとはバランスで成り立っています。太陽と月ではありませんが、相反するものがそろって安定することを肝に銘じたいと思います。
