バランスと統合


 子供から「厳しすぎる」と文句を言わることがあります。そんな時には「自分で自分に厳しくできるなら、いくらでも優しくしよう。でも、それができそうにないから、厳しくしてバランスをとっているのだ」と言うことにしています。子供にないものを与え、バランスをとるのも親の務めだと思うのです。


 厳しすぎるのも、甘やかしすぎるのも、どちらもいけません。張りすぎた弦は切れ、ゆるい弦では音が出ません。何事もちょうど良い加減というものがあります。ストレス社会のせいかアンバランスな印象を受ける人が多くなりました。長所と欠点はそもそも相反するものなのですが、人間はこれを上手に融合し個性とします。「あの人らしい」といった時には、良いところも悪いところも、すべて含めての「あの人」なのです。しっかりと自分という人間が統合されていなければなりません。


誰しも自分が授かったもので、自分という人間を作っていきます。いかに素晴らしいものがあっても、調理が下手であれば、活かすことはできません。素材を知り、相性を知り、統合していかなければなりません。統合してこその個性であり、それによって人として成熟していくのではないでしょうか。