死後の世界へ

 まもなくお盆を迎えますが、今年は帰省できない方も多いのかもしれません。辛抱の時期はまだ続きそうです。お盆にも諸説ありますが、先祖供養だと考えていただければと思います。正月は神道行事なのに対してお盆は仏教行事です。現在は家族や友人と焼肉やキャンプという人も多いかもしれませんが、お墓参りや仏壇への仏飯も忘れないようにしたいものです。


 死後の世界については誰も分かりませんが、何を信じるのか、どのように信じるのかが大切だと考えています。お盆にはご先祖様が帰ってくると信じられてきました。お墓に迎えに行って、食事を出して近況を見てもらい、お見送りをするのがお盆です。お盆の期間に心をこめてご先祖様と接していれば、いざ自分が旅立つ時にはお盆に帰ってくることを信じることができます。それは自分の命や魂というものが死後も続いていくという安心感につながります。死後は完全な無になると考えるのと、どちらが良いのでしょうか。


 日本人は古来より祖先への祈りによって死への安心(あんじん)を獲得してきたのです。ですが、心も形も失われてしまえば、お盆の意義も死への安心も失われてしまいます。ある程度の年齢になれば死を実感するようになります。その時に祈りの習慣の有無によって大きく違ってきます。祖先への祈りは自分への祈りであり、さらには子孫への祈りでもあります。祈る姿を見て育った子や孫もいつしか自然と手を合わせるようになります。まさに三つ子の魂百までなのです。科学的ではないもののほうが人の心を救ってくれるものなのです。 

 

次回の更新は8月16日からとさせていただきます。合掌