陰徳あれば陽報あり

 物事を損か得か、多いか少ないかを基準にして生きていると偏ってしまい、正しい道が歩めなくなってしまいます。昔話に登場する意地悪ジイさんは欲にまかせて、必ず悲劇に見舞われます。


 損して得を取れといいますが、この得とは「徳」のことなのです。自分のことばかりではなく相手のことも考える。嫌な役割であっても、みんなのために引き受ける。こういったことが徳を磨く修行となり、やがてそれに相応しい得がやってくるのです。徳のないところに得はありません。自分さえ良ければと思う心に徳は育たないのです。


 どうすればお金持ちになれますかという質問に、小さなコップはすぐに水があふれてしまいます。まずは大きなコップになることです。そうすれば自然とお金は集まってきますと答えました。自分の器以上のものは得られないものです。


 「陰徳あれば陽報あり」といいますが、宣伝するための善行ではなく、自らを大きくするための善行が大切だと思うのです。求めることよりも、与えることを楽しめる人が幸せな人なのです。損得や多少に翻弄されることなく、自然と人も物も集まってくるような徳を備えたいものです。