お金が使えなくても

 人生の豊かさとは何かと考えれば、以前はお金を稼いで海外旅行やブランド物など、物質的な豊かさが幸福の条件だったように思います。しかし、現在はコロナ禍にあり自粛生活を強いられています。それはお金を使いたくても使えない状況でもあります。生活様式や価値観など大きな転換期にあります。


 これからの時代の楽しみとは、個人的・物質的な楽しみばかりではなく、社会や地域に貢献すること、人に喜んでもらえることを大事にできればと思うのです。自分の能力や時間を自分のためばかりではなく、周囲のために使うのです。仏教ではこれを布施といいます。お金ではなく、人々のための行為が本来の布施なのです。


自粛生活もみんなのため、社会のためと思えれば不満ばかりではなく、耐えるだけの意義も生まれるというものです。家族も家でゆっくりとお互いの話を聞きながらの団欒も良いものです。物質的な満足ではなく、精神的な充足が求められます。それはお互いを想うやさしい気持ちに触れた時に生まれるものです。スマホやゲームばかりではなく、物に頼らない豊かな時間を大切にしたいものです。何気ない会話にも喜びや希望を見出していきたいと思うのです。