苦悩のなかでつかむもの

 たとえば上手にスキーをしている自分をイメージできても、実際にスキー場に行けば理想と現実のギャップがあります。分かっていることが、そのまま実行できないのが普通なのです。理想と現実のギャップを埋めるためには努力と経験しかありません。自分の筋書き通りに進めるためには、相応のものが求められます。


 私達はつねに自分の限界と向き合わなければなりません。ですが、自分の限界を否定して無理にその先に進もうとするよりも、限界を認めることも大切ではないかと思うのです。素直に認めることで苦悩から解放され、また新たなる道や個性が見出せるかもしれません。限界に執着しても翻弄されるばかりなのです。


 限界を突破するとは、けして正面から挑むばかりではなく、迂回してもコースを変えても良いのです。同じところをウロウロするのではなく、前に進めば良いのであり、前という方角は決まっておらず、自分で決めて進めば良いのです。そして挫折や失敗から新たなる方向性が見えることもあります。転んだ時に何をつかむのかが大切なのです。今までの自分になかったものを、いかにしてつかむのか。苦悩のなかにあっては、それが大切なのではないでしょうか。