コロナの誘惑

 コロナ禍の影響は医療ひっ迫や経済停滞なと様々ありますが、私は悪しき「そもそも論」の登場も恐ろしいと思っています。リモートに慣れてしまえば、そもそも大学や出張に行く必要はあるのか。地域のお祭りや寄合なども中止に追い込まれていますが、そもそも今の時代に必要なのか。面倒なことはすべてコロナを言い訳にやめてしまう風潮にならなければと思っています。


 とりあえず今年は中止してしまうと、一年休んだ分だけ来年は大変になります。来年も休んでしまえば翌年はさらに大変になります。三歩進んで二歩下がるという歌詞がありましたが、下がってから前に進もうとする一歩はとても重いものです。毎日していることは苦にならないのですが、楽を知ってしまうと途端に今まであたりまえにしていたことができなくなってしまいます。


 「あたりまえが、あたりまえでなくなる」というのは恐ろしいことです。人の心は弱いものであり、面倒なことや大変なことは正当化しつつ、やめてしまいたいと思います。今回のコロナウイルス大義名分ともいえます。あれもこれもやめてしまえば、はたして何が残るのでしょうか。伝えていくべき大切なことほど苦労が伴うものですが、その苦労に価値を見出せるようになりたいものです。コロナの誘惑に負けることなく、地域の伝統や風習を守っていきたいものです。