簡単ではありませんが

 江戸時代の虎の絵などを見るとネコや狛犬に見えるものがあります。それは本物の虎を見たことのない人が書いたからなのでしょう。百聞は一見に如かずといいますが、実物・本物を知ることは大切です。ネットに頼るよりも実際の見学・会話・体験が大切だと思うのです。便利な時代だからこそ苦労を惜しまず行動しなければ本物の経験や智慧を得ることはできないのです。


 富士山に登らず富士山を語ることはできません。今年はリモートが流行りですが、画面から得られる情報や感動というものは、眼前で得られるものには及びません。人間は面倒だと思うようになると何もできなくなります。こういう時代だからこそ本物を求めようとする意欲と行動が求められます。空腹で食べる食事が最高であるのと同じように、苦労して得たものこそが本物なのです。中身よりも過程が大切なのです。


 結果を求めて過程を省こうとするのが現代の特徴です。インスタントがあたりまえとなり、何事も簡単に得ようとします。しかし、大切なものほど手間と時間がかかるのです。信頼関係、技術、人間性など簡単に得られないもののほうが多いのです。一生をかけて求めようとする姿勢で、着実に歩んでいきたいものです。