果報者とは

 困った時ほど日頃の行為や態度が問われるものです。困っている人がいても見て見ぬふりをする人、傍若無人で配慮のない人、いつも口だけの人などが困っていたとしたら、周囲は助けるのでしょうか。まさに因果応報です。かといって見返りを求める魂胆も相手には分かってしまうものです。あの人にだけは頼りたくないと思われるのも残念なことです。日頃から素直であたたかい心で接するのがなによりです。


 悲しそうな顔の人には声をかけてみる、困っていそうな人には相談に乗ってみる、お節介の一歩手前くらいの気持ちで接してみたいものです。日本には「お互いさま」という素晴らしい考え方があります。育てられる時期と育てる時期、教えられる時期と教える時期、支える時期と支えてもらう時期、一生のうちにどちらの立場も経験することで人は成長していきます。


 何事もめぐりめぐるものです。今できることに最善を尽くしていくことが大切です。昔から陰徳あれば陽報ありといいます。陰徳とは見返りを求めず地域や人のために尽くすことです。陽報とはそういう人にはのちのち必ず良いことがあるという意味です。欲しい欲しいと求める人にはあげたくなくなるのは人も天も同じなのかもしれません。何も言わず黙々と励んでいる人こそ果報者になれるのです。