本当の幸福とは

 自分が持っていないものを人に与えることはできません。財布を落として困っている人がいても、自分もお金がなければバス代を貸してあげることもできません。それ以上に困っている人を助けてあげたいという想いがなければ、困っている人がいたとしても指一本動かすことはできません。いくら道徳の授業で困っている人を助けましょうと教えられても、自分の心から自然と目の前の人を助けたという純粋な想いが生まれなければ、どうしようもありません。


 現代は外界に対する不満ばかりがあふれ、求めるばかりで自分ができることを考える機会が少なくなっています。お互いに待っているばかりでは関係性は生まれません。私達は誰しもこの世界に必要とされて生まれてきました。自分の役割があり、支えるべき人がいるはずなのです。待っているだけの自分を捨て、何ができるのかを考えられるようになりたいものです。自分は何を持ち何を与えられるのかを考えることで、自らの役割や居場所が分かります。


 日々、周囲に様々な影響を与えているものです。自分が与えているものに利息がついて戻ってくることを因果応報といいます。小学校で教えられた「自分がして欲しいことを友達にもしてあげましょう」という言葉は一生の教えでもあります。自分という人間を豊かに耕し、惜しむことなく分け与えられる人こそ、本当に幸せな人なのです。