嘘がなくても生きられるように

 嘘をついて誤魔化そうとして、かえって収拾がつかなくなったという経験は誰にでもあるのかもしれません。こんなことなら最初から正直になっていればよかったのに、嘘をついたばかりに、見栄を張ったばかり、適当なことを言ったばかりに、軽い気持ちでも行きつくところは後悔です。失敗や弱点は見せたくないという気持ちは分かりますが、隠そうとするほど苦しくなるものです。


 誤魔化す、隠す、騙す、そのどれもが無駄にエネルギーを使うことであり、多くの場合には疲れて嫌になり無意識に自分から露見するよう仕向けてしまうものです。たとえ誰も知らなくても自分だけは欺いていることを知っており、その罪悪感は日増しに増大し我慢できなくなるのです。人間という存在は基本的に懺悔したくなる生き物なのです。それは誰にでも良心があることを証明しているのかもしれません。


 最初から正直である習慣、そして正直であることで相手を不愉快にしない配慮が大切です。失敗したことを、参加したくないことを、相手が間違っていることを、上手に伝えられるようになると嘘をついたり我慢したりする必要がなくなります。嘘も方便とはいいますが、正直であり円満であることが理想なのです。簡単なことではありませんが、日頃の言動を見直し無理せず楽に生活できるようになりたいものです。