祈りの利益

 今の日本は良縁成就よりも婚活サイト、合格祈願よりも塾、商売繁盛よりも経営コンサルタント、病気平癒よりも名医探しといった具合に祈りや祈祷というものが失われつつあるように思います。これが現実的・合理的な選択かといえば表面的な結果ばかりを求めているだけのように見えるのです。祈りによって結婚したいという想いを高めることが、結婚に相応しい人間形成の転機ともなり、カタログショッピングではない出会いにつながります。合格したいという想いを高めることで、集中力が高まりますし合格することだけではなく、その後の人生についても考える機会となります。商売繁盛への想いを高めることで、儲けることばかりでなく社会的使命の自覚にもつながります。病気を治したいという想いを高めることが、健康への感謝や残りの人生について考える機会ともなります。


 祈りによって想いを高めるということは、どのような時代であっても大切なことだと思うのです。ご利益ばかりを求めていると、この大切な部分が分からないままとなり、表面的な結果ばかりを求めるようになってしまいます。祈りとは結果を求めることではなく、自分の想いを正しいものへと昇華させ、新たなる気づきを与えてくれるものなのです。私達が道に迷うことなく正しき人生を歩んでいくためには、祈りによって自らの人生を明るく照らさなければならないのです。