依存ではなく共存のなかに

 何かのコマーシャルで同じ遺伝子はないから同じ答えもないというメッセージがありました。世界に一つだけの花も大ヒットしましたが、誰もが自分という存在をしっかりと認識したいと考え、そのための手段を模索しているのではないでしょうか。世界中にたくさんいる人々のなかで、自分にしかできない役割があり、自分がいるべき場所があるはずなのですが、自分の役割や居場所を探すのが人生なのかもしれません。


 自分だけの役割や居場所を探しながら、周囲と同じことに安心感を得るという矛盾があります。何かを決めるにも周囲の答えが気になり、周囲と同じであろうとします。これが高じると無理して周囲に同調しては疲れてしまいます。これでは自分の存在や個性など分からなくなるばかりです。一人で生きることのできない人間ですが、どのような集団にあっても自立していることがまず必要です。


 周囲を頼り同調するのではなく、自分の個性や価値観がありそれを磨きながらも、周囲の個性や価値観も認められることが大人の条件だと思います。自分と周囲と対等な関係にあって、その関係性のなかにこそ役割や居場所があるのです。依存ではなく共存という関係は、お互いの人間性が問われるのです。どのような人間になって、どのような関係を築いていけば良いのか、この答えのなかにこそ私の存在意義があるのかもしれません。