不安の撲滅

 不安というものの具体的な形を見た人はいないと思います。ですが、形のない不安に怯えるのが人間というものです。不安とは自らが作り出しているものにすぎませんが厄介なものです。この人間に巣食う不安というものは人類の歴史において途絶えたことがなく、何をしても何をしなくても人々を苦悩へと誘います。


 私達は自分や周囲の人を大切に思うからこそ不安にも思うのです。不安と愛情は表裏の関係なのかもしれません。大切に思えば思うほど心配になり不安になるのです。自分の将来に不安があるのは、これからの人生に希望がありかけがえのないものだからです。家族を心配するのは、自分にとって大切な存在であり、家族のいない人生など考えられないからなのです。


 不安に思うのは幸福だからこそなのかもしれません。失いたくないものがあるからこその不安なのです。このように考えることができるならば不安に苦しむのではなく、現在の幸福を喜び感謝したほうがいいと思うのです。今までは不安に思ったことでも、これからは不安に思えるほど大切なものがあると感謝したいと思います。そうすることで私達の生活は暗い影がなくなり、明るく楽しくなるのではないでしょうか。同じものでも、どのように見るかで人生が大きく違ってきます。