囚われず楽に生きる

 狭い所にいると窮屈で苦しくなりますが、人生においても狭い価値観でいると苦しむことが多くなります。価値観とは表現を変えれば自分が許すことのできる範囲ともいえます。「○○でなければならない」と自分や周囲を縛れば縛るほど窮屈で苦しくなります。あれもダメ、これもダメと否定すればするほど自分の居場所がなくなってしまいます。変化の激しい現代社会にあっては、いかに変化に対応していくかも重要な課題となります。


 現代は保守的・固定的な価値観が崩壊しています。法律に違反しなければ、あとは各人の自由ともいえます。長く日本人を律してきた倫理道徳というものが希薄となり、自分さえ良ければという風潮が蔓延しています。この風潮は問題だと思っています。各人が権利ばかりを主張して義務を放棄すれば社会は崩壊します。退廃的な社会での生活は快適なものではありません。ですが、いかに現状を嘆いても社会が変わるわけではありません。


 容認できない現状のなかでいかに生活していくかを考えなければなりません。現状を否定すればするほどイライラして苦しくなります。これは対人関係においても相手を否定するほど、相手よりも自分が苦しむことになります。たとえ認めることはできなくても、受け入れなければならないこともあります。そのためには執着しない心が求められます。執着とは欲しいということばかりではなく、頑固に拒否することも執着です。もっと心を自由にして来るもの拒まず去るもの追わずの心境で広く大きな心でありたいものです。そうすればどのような時代であろうと、もっと楽に生きることができます。