人間の性質というもの

 賢い人ほど自分という人間を理解しているものです。たとえばお酒に弱いと知っていれば節度をもってお酒を楽しむことができます。ところが、自分はお酒に弱いと知らい人は酩酊して人に迷惑をかけたりアルコールに依存してしまいます。この場合の知るとは酔うと人に迷惑をかけてしまうこと、自分を抑えることができなくなること、アルコールによって人生が破たんしてしまうことを理解するということです。


 人間には生まれ持った性質というものがあります。どのよう人であれ善き性質と悪しき性質の両方を抱えているものです。自分を理解している人は善き性質を前面に出し、周囲から信頼され、その善き性質によって幸せな生活を送ります。極楽と地獄のどちらを選びますかと問われれば、極楽と地獄がどのようなものか理解していれば極楽を選びます。自分がどのような性質を持っているのかを理解できれば、善きほうを選ぶことができるのです。


 人によっては私はまったく善き性質を持ち合わせていないと嘆く人がいますが、それは間違いです。どのような人であれ善き性質を持っているのです。ただ気づいていないだけなのです。人間の性質とはコインの裏表のようなものです。裏があれば必ず表があり、悪があれば必ず善もあります。自分が生来もっている善きものに気づいてあげなければなりません。どこか遠い世界の手の届かいないものを求めるのではなく、自分のなかにあるものに気づくだけで私達は幸せになれるのです。