選択に迷ったならば

 よく選択に迷う人がいますが、私はどちらの選択肢を取ってもたいして変わらないと考えています。ある人が選べばどちらを取っても安楽であり、またある人が選べばどちらも苦難の道となります。目の前に提示される選択肢が一方は幸福への道であり、もう一方は不幸への道だと思い迷いがちですが、その選択肢に大差はなくどちらの道を進んでも幸せになる人は幸せになり、不幸になる人は不幸になるのです。


 大切なことはどちらを選ぶかではなく、選んだ道で最善を尽くすことなのです。寺院関係の後輩にアドバイスをした時に、素晴らしいアイディアは盗めばいい、でもそのアイディアを実現させるための能力や人脈がなければ意味がない、まずは力をつけなさいと伝えたことがありました。何事においても問われるのは選択肢でもアイディアでもなく、自らの熱意や努力なのです。


 誰もが求める楽な道というものは存在しません。長い人生を考えれば刹那的な幸運というものがあり、そういうものを求める人が多いものですが、自分を支えてくれるものを身につけなければ、長期的な安定や飛躍はありません。使えばなくなってしまう財布の現金よりも、つねに社会から求められる能力や人間性を養うことのほうが賢明であると思うのです。