個性の時代の真実

 地元のラジオに出演することになり1回目にある絵本を読もうとしたら上手に読めないことに気づきました。やはり自分の言葉でないと上手に話せません。文章を暗記するときも、自分の文章だと頭に入りやすいのですが、誰かの言葉だと一言一句を間違いなく暗記するのは難しいものです。日々の生活においても自分の考えを自分の言葉で話すことが大切だと考えます。


 人の話を聞いていると借り物の考えや言葉だと感じることがあります。偉人の教えを学ぶことや名作を読むことは大切なことですが、それを自分なりに消化しないで、単なる知識として発信してしまうと、その人には馴染まない違和感を感じてしまいます。素人が名刀を持っても宝の持ち腐れになってしまいます。名刀を持つにふさわしい技量が求められます。同じようにどんなに素晴らしい哲学や名言も言葉だけで実践が伴わなければ虚しいものです。


 何事においても自分のものにするという作業が必要です。現代は自分という存在を見失いやすい時代です。大量の情報に日々さらされるため本当に自分が思っていることなのか、それとも社会や周囲に流されているだけなのか分からなくなることがあります。今以上にしっかりと自分という存在を正しく認識できないと、自分が何を考えているのか、自分が何を求めているのか、自分がどこに行きたいのか、ますます分からなくなってしまいます。個性の時代といわれながら、その真実は個性どころか自分という存在が失われつつあるのです。自分の考えや行動をしっかりと確立していきたいものです。