パズルの完成

 自分のペースでしか生きられない人が増えているように感じられます。それによって引きこもりや適応障害につながっているように思うのです。たとえば2人の人間がいて、目の前にひとつのリンゴがあれば、半分に分けて食べるのが普通ではないかと思います。お腹がすいているからと相手のことを考えず1人で食べてしまえば常識がないと非難されます。2人の人間がいれば2等分、3人の人間がいれば3等分というのがルールではないかと思います。


 普通の感覚があればなんとなくこういうことは分かるものです。この「普通の感覚」とは日常生活において自分のことばかりを考えず相手にも配慮できる感覚と表現できますし、人間関係において守らなければならない暗黙のルールともいえます。この日本人が持つ感覚によって聖徳太子の時代から和を尊び協調してきました。


 ところが、家庭の子育てにおいて他人のことはいいから、まず自分のことを考えなさいと教える親もいます。集団生活においては相手に配慮すること、順番を守ること、足りなければ分かち合うこと、自分より小さい子供は優先することなど、人が社会で暮らしていくためのルールを知らなければ、社会に適応して生活することはできません。知らないということは恐ろしいことです。自分に欠けているものがあると知らなければ補うことはできません。自分の生活に違和感を感じたならば、自分に足りないピースを探してみたいものです。