仏教ブームの終着

 近所のお寺の大般若で法話をさせていただきました。観音巡礼について話したのですが、せっかく御縁をいただいて巡礼するのですから、ただお願いするだけではもったいないと思うのです。大切なことは観音様の慈悲の心をいただくことです。さらに言えば、信仰の対象である観音様に自分が成るという心がけが大切だと思うのです。観音巡礼をしたならば観音様の慈悲の心をいただき、今まで以上に家族や周囲の人に優しくなることが巡礼最大の功徳なのです。


 仏教の特徴は信仰対象である仏様に自分も成れるということです。そのため必要なことは仏様の心を我がものとすることなのです。仏教の教えを知識として学ぶことではなく、仏様の心を学ぶことが大切なのです。仏様と同じような視点に立つことができれば、この世界は浄土となり、すべての人々を等しく慈しむことができます。「親の心子知らず」といいますが、「仏の心我知らず」の状態なのです。仏道とはご利益や極楽を求めるものではなく、仏様の心を求め自らの心を昇華させていくことなのです。


 仏教ブームといわれますが、仏教に知識や癒しを求めてもいいのですが、そこで満足することなく仏様の心を学んでいただきたいと思います。知識ではなく心を学ぶこと、そのためには実践が必要なのです。仏道修行といえば難しく厳しい響きになりますが、日々の生活において親切にしよう優しくしようと想うこと、その想いを少しでも実行しようとすることが仏道なのです。難しい理屈を語るよりも、人の役に立とうとすることのほうが、自分のためになり人にも喜ばれ仏様の御心にも適う生活なのです。