理解と協力がなければ

 何もしていない人ほど文句が多いものです。先日、ある総会において提案をさせていただいたのですが、様々な要望が寄せられました。提案内容は客観的・現実的・平等を心がけたのですが、それを受け取り寄せられた要望は利己的・非現実的なものでした。「交渉の席に着く」という表現がありますが、それはたとえ立場や価値観は違えど同じ視点に立つということではないでしょうか。全体にとってのベストは何か、お互いにとってのベストは何かという視点がなければ、良い方向に進むことはありません。


 戦争が起こるのは平和への願いよりも利害や敵意が優先されるからです。平和を最優先に話し合えば戦争が起こることはありません。お互いに目指すものが同じでなければ、何かを達成することはありません。一人で生きられない社会にあっては、良くも悪くも自分だけ違う方向を向いているとついていけなくなります。何事においてもお互いの着地点を見つけなければなりません。ずれている人ほど着地点を見つけるのが困難になります。妥協ではない納得できる着地点はお互いの信頼関係と有意義な議論によって生まれるものです。


 賢い人ほど相手を育て同じ道を歩もうとし、そのための忍耐と努力を惜しまないものです。そこまでできない私は分かりあえない人間の愚かさに苦悩してしまいます。この世界の平和も繁栄も各人の目的や願望もすべては人々の理解と協力なくして実現することはありません。その理解と協力をいかに獲得していのか。険しい道なのかもしれませんが、避けて通ることができないとすれば、覚悟を決めあきらめることなく歩んでいきたいものです。