虐待を解決するには

 最近の報道で知ったのですが民法に懲戒権というものがあるそうです。これは子供の教育や利益のために必要な範囲の懲戒を親に認めるという法律ですが、よく分からないというのが正直なところです。おそらくほとんどの人が知らなかったのではないでしょうか。この懲戒権を改正することで児童虐待を防止する試みがなされるようですが、その効果はいかほどなのでしょうか。おそらく懲戒権が改正されたからと虐待を慎むようになる親がいるとは思えません。


 虐待を防止するのが理想だとしても、現実的に考えればまず虐待されている子供の救出が最優先だと思うのです。今以上に親の意向を無視してでも虐待の可能性があるならば強制的に救出できる法改正が必要だと思います。さらに長い目で見るならば虐待の原因はストレスであり、今の日本を覆うストレスを改善していかなければなりません。ストレスが蔓延していれば、必ず自分のなかで消化できないストレスが弱い子供に向けられてしまいます。


 何事にも現実的な対処と長期的・理想的な対処の両方が必要です。このふたつを無視して表面的な対処をしていると事態はますます悪化してしまいます。問題が起こった時、問題の本質にどこまで迫れるのか、現実と理想の両軸からアプローチしていかなければなりません。偶然起こる問題というものはありません。問題は必然であり、必然であるからこそ解決できるものなのです。大切なことは、どのレベルで問題を解決しようとするかなのです。「とりあえずやりました」という表面的なアプローチではなく、高い意識で問題と向き合うことで、その先に大きな発展や安寧が待っているのではないでしょうか。まずはすべての子供が安心して暮らせる社会を願うばかりです。