育てるということが面倒になって

 終身雇用のメリットは安定よりも、長い目で人を育てられるということにあったと思います。人を育てられる社会でなければ発展することはありません。会社を転々としながら成長するよりも、安心してひとつの会社に長く勤め経験を深め人間的に成長していくほうが日本的だと思うのです。自分のための成長ではなく、会社や社会のために頑張ろうと思うところに自他の繁栄があります。日本ではもともと大切な神様の仕事を人間が預かっていると考え労働に励んできました。仕事とは株主や社長のためではなく神様のためにおこなう神聖にものでした。それが大きく変容し現代に至っています。


 日本ではいつの時代にか規制緩和と称してアメリカの真似をするようになりました。世界中の国々が日本にあこがれ日本に学ぼうとするなかで、どうして貧困や治安に苦しむ国の真似をしようとするのか理解に苦しみます。どうして日本人は海外の人間があこがれる日本の魅力に気づけないのでしょうか。アメリカの真似をしてずいぶん経ちますが、今でもプラスよりもマイナスの影響が大きく出ているように思います。様々な日本の価値観や制度が崩壊しています。


 崩壊していく日本を再生するためには海外の真似をやめることです。無理をして日本人に合わない制度や価値観を導入する必要はありません。明治の時代より欧米へのあこがれが強く無条件に素晴らしいものと思いがちですが、吟味すればそうではないことが分かります。制度も食事も文化も日本のものが優れています。海外にあこがれる時代に終止符を打ち、今度は自信をもって日本を誇る時代にしていきたいものです。そのためにもっと日本というものを学ばなければなりません。