言葉の幸せ

 言葉というものは私達を幸福にも不幸にも誘います。言葉によって人生は作られていくといっても過言ではありません。乱暴な言葉は争いを招き、嫌味な言葉は周囲を遠ざけ孤立を招き、否定的な言葉はすべての可能性を奪います。言葉も習慣であり、日頃からのどのような言葉を使っているかを考えなければなりません。どういった気持ちでどういった言葉を使うとどうなるのか、分かっているはずの長年のパターンを考えてみなければなりません。


 言葉には人柄が表れます。たとえ同じ内容であっても、人によって優しく聞こえたり、傲慢に聞こえたり、相手に与える印象は大きく違うものです。もちろん聞く相手にもよるわけですが、そのように聞こえてしまうということは、そのような関係だということでもあります。論語では「巧言令色、鮮なし仁」と口先だけの言葉を戒めていますが、しかし相手に伝わるように話すこと、相手に共感してもらえるよう配慮したり心を込めることは大切なことです。不器用な言葉で損をしている人はたくさんいるように思います。


 「分かっていること」と「できていること」は大きく違います。私達は一日にどれだけの会話をして生涯でどれだけの言葉を使うのでしょうか。毎日使うものだからこそ大切にしなければなりません。口を災いのもとにしてはいけないのです。丁寧で優しい言葉を使えばみんなが幸せな気持ちになれます。言葉によって人生が作られていくのですから、自らが望む人生に相応しい言葉を使いたいものです。