極楽と地獄の関り

 観光学権威の先生から講演いただく機会がありました。温泉地において自分の旅館のお客さんを増やしたいと思うならば、まず自分の温泉地の魅力を向上させ選んでもらえるようにならなければならないと言われました。人気の温泉地になれば必然的に宿泊者も増えます。しかし、魅力の乏しい温泉地ではいかに各施設が頑張っても、なかなか結果を出すことはできません。全体が良くなってこそ、その全体を構成する施設や人にも恩恵が回るようになります。


 ところが現実は自分の利益ばかりを追求して周囲と争い疲弊しています。温泉街の半数が廃墟になれば、もはやどうしようもあません。足し算をするのか引き算をするのか、小学生でも分かる単純な計算なのですが、欲や怒りに翻弄されていると、誰にでも分かる大切なことが分からなくなってしまいます。協力して足し算できれば大きな力となるのに、理想と現実の距離は遠のくばかりです。


 自分を優先するのか、全体を優先するのか、相手を優先するのか。自分の選択と相手の選択が良い方向に一致すると幸せになれます。極楽と地獄の食事は同じであり、とても長い箸を使って食べるそうです。自分一人では使えないので極楽の人間はお互いに食べさせます。ところが、地獄の人間は自分のことしか考えられず人を信用できないため、自分一人で食べようとしては食べられずに餓鬼の苦しみに陥るそうです。どのような形で人と関わっていけばよいのか考えさせられます。




応援クイックお願いします
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 仏教へ
にほんブログ村