心の表現

 人間はいかに頑張っても自分の心を相手に見せることはできません。それなのに人は誰しも心で生きています。人間関係とはお互いに見せることのできない心と心の交流です。見せられない自分の心をいかに伝えるのか。見ることのできない相手の心をいかに感じるのか。私達にできることは普段の言葉や行動にいかに心を込めるかということです。友人に「大丈夫?」と声をかけるときに同じ言葉であっても、本当に相手のことを心配しているのか、それとも社交辞令なのか。どちらにせよ伝わるものはあるはずです。


 言葉や行動にはその人の心や人間性が表現されます。言葉や行動は表面的なものであり、私達は言葉や行動の根底にある心で交流しています。心の交流の要は信頼関係です。信頼関係の有無によって同じ言葉や行動でも受け取り方が大きく違います。この信頼関係は最初からあるものではなく、お互いに時間をかけながら築いていくものです。どのような時間を過ごしていくかで信頼関係が深まることもあれば、疎遠になることもあります。


 仮面夫婦という言葉がありますが、ただ一緒にいれば信頼関係が深まるというわけではありません。お互いを想う会話が必要ですし、2人で困難も含めて様々な経験を共有することも必要だと思います。すべての関係において、どのような時間を過ごしたのか内容が問われます。人間関係には相性というものもありますが、焦らずじっくりと関係を深めていきたいと思います。見せることのできない心をどのように表現していくのか。日々の生活は舞台であり、私達は心の表現者であることを忘れないようにしたいものです。



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