優しい言葉と厳しい言葉

 私達はつい甘えてしまうものです。自分なりに頑張ったつもりでも思うような結果を得られなかった時に、運がなかったから、まわりの理解や協力がなかったから、体調が悪かったからなど、いくらでも説明することができます。また、そういった時に求めれば周囲の人々は「あなたの責任ではない」と優しい言葉をかけてくれることでしょう。自分の言い訳と周囲の優しさに甘えれば救われるかもしれません。


 ですが、いつまでも甘えるだけではいけないと思うのです。自分に対して厳しくならなければ、現状から前に進むことはできません。また、人間関係においても優しく接してくれる人ばかりではなく、あえて厳しく導いてくれる人も求めなければなりません。「そんな無理しなくていいんだよ。あなたが悪いわけじゃない」という言葉だけではなく、「今のままではダメだよ。あなたのここを直すべきだよ」という言葉も必要なのです。


 人はどうしても優しい言葉を求めてしまいますが、厳しいことを言ってくれる人こそ大切にしなければなりません。単に口の悪い人ではなく、あなたのことを真剣に考えて注意してくれる人が必要なのです。優しい言葉は誰でも簡単に言うことができます。ですが、厳しい言葉を発するためには、たとえ嫌われても大切なことを伝えたいという覚悟が必要です。それだけの覚悟をもって自分のために忠告してくれる相手がいてくれるのは幸せなことだと思うのです。
 相手の覚悟に対して自分がどのような態度で接するのか。まさにその人の器量が問われます。誰にでも欠点や失敗がありますが、それを素直に認められる人こそ素晴らしい人なのです。自分を導いていくにあたり、厳しさを親しい友として、周囲の苦言にも誠意をもって対応していくことで、上手に自分を育てていくことができます。



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