表面と内面

 友人が人間というものは立場ひとつで豹変することがあり恐ろしいと言っていました。優しく丁寧な人が高い地位を得て傲慢で強引になり、せっかくの信頼を失うこともあります。地位に翻弄されたとしかいいようがありません。自分に自信がないと自分を支えてくれるものを求めてしまいます。ですが、学歴や役職などたとえ自分の努力で得たものであっても、謙虚さを失いしがみついてしまうと、支えてくれるどころか自滅へと誘います。


 私達には表面的なものと内面的なものがあります。表面的なものほど立派に見えますが、大切にすべきは内面的なものです。表面的なものは移り変わるものです。高い役職を得ていても退職すれば、ただの人です。お金がいくらあっても、使い切れば無一文です。地位やお金など表面的なものに集う人々は、それがなくなるとすぐに離散するものです。表面的なものがすべてであり、しがみついている人は、それを必死に守ろうとしますが、この世界は諸行無常であり一時のものでしかありません。


 逆に内面的なものは誰も奪うことができず、自ら放棄しなければ失うことはありません。ブランドに身を包むことと相手への優しさと、どちらがその人を幸せにしてくれるのでしょうか。高級車を購入しそれを見たくて人々が集まるのと、人徳によって尊敬され人々が集まるのと、どちらが幸せなのでしょうか。私達の幸不幸は関係性のなかで作られていきます。関係性を豊かにしてくれるものとは、やはり内面的なものなのです。



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