信頼関係とは

 同じ人に同じことを同じようにしても、人によって感謝される人もいれば憤慨される人もいるかもしれません。その違いはまず信頼関係の有無にあります。親しい友人に言われれば許せることでも、知らない人に言われれば怒ることもあります。礼儀を忘れてもよい関係でなければ、態度や言葉には気をつけなければなりません。同じ言葉であっても、その言葉を発する人によって、相手に与える印象はまったく違うものになります。


 また、同じような言葉や行動でも、その奥に秘められている心によっても、相手に与える印象が違ってきます。親切でやっているのか打算でやっているのか、本気で言っているのか口だけなのか。心は相手には見えませんが、知らず知らず伝わってしまいますから、気をつけなければなりません。調子に乗っている、損得を計算している、思ってもいないことを言っている、自分のことしか考えていない、こういったことはよほど鈍感でなければ分かってしまうことなのです。


 自分と他人の間には壁があり、親しくなるほどこの壁は低く小さくなりますが、完全になくなることはありません。どこまでいっても人間は自分を中心に物事を考え自分を主体に生活していかなければなりません。お互いに自分を優先しながら、どのように信頼関係を築いていくかが課題なのです。自分が危機に陥れば相手はすべてを投げうって助けてくれることを前提にした信頼関係などありません。お互いが自分の生活に責任を持ったうえでの信頼関係でなければなりません。相手に依存することと信頼することは違います。新しい出会いも生まれる新年度にあたり、人間関係についても考えてみたいものです。
 


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