本当の私

 自分探しが時代のキーワードになっているようです。「本当の自分を求めて旅に出る」なんだか旅行雑誌のキャッチコピーにありそうな言葉です。また「本当の自分と出会える転職を」といえば就職情報誌のキャッチコピーにありそうなフレーズです。もし本当の自分というものが、どこか別な所にいるとしたら、今の自分という存在は何者なのでしょうか。今の自分を否定して、別人にでもなろうというのでしょうか。


 人間は現在の自分に不満を持つこともあり、さらには自分という存在を否定したくなることもあります。失敗することもあれば、人間関係で悩むこともあり、コンプレックスに苦しむこともあります。周囲に理解者など誰もいないと思え、自信を失い自分を信じることができなくなると、現在の自分や環境を否定したくなります。さらにそういう思いが慢性化してくると、どこか遠い所で新しい自分を見つけたくなるのかもしれません。


 現在の自分を否定しても変わることはなく、ますます苦しくなります。大切なことは否定ではなく肯定です。他の誰でもなく、まず自分で自分を認めてあげなければなりません。失敗しながらも頑張っている自分、相手のことを考え人間関係に悩む自分、コンプレックスと向き合う自分など、自分を評価するのではなく「ありのまま」を認めてあげなければなりません。認めたうえで理想の自分を求めればいいのです。否定からはじまる理想ではなく、肯定からはじまる成長にかけてみたいと思います。




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