千の手に想いを

 観音様には様々なお姿があり、子年の守り本尊でもある千手観音は、千の手を持つ異様ともいえる仏様です。ある盲目の子供がお母さんの絵を描いたところ、たくさんの手を描いたそうです。その絵を見た人が千手観音を連想したといいます。ご飯を食べさせてくる手、着替えさせてくれる手、なでてくれる手、そういった母のひとつひとつの手を描いたのではないでしょうか。目が見えないからこそ、母の愛情を敏感に感じることができるかもしれません。


 大切なものほど目には見えません。日本では物質的な豊かさを優先して求めてきましたが、精神的な豊かさなくして幸福はありません。幸福とは物質的な条件ではなく、幸せを感じる心より生まれるものです。不幸とは精神的な孤独からやってきます。誰かとつながっているという意識があれば、人は大事なところで踏みとどまることができます。


 社会からの恩恵、家族からの愛情、先生や友人からの信頼など、大切なつながりを感じられるかどうかなのです。こういった「つながり」を意識でき、感謝できる人ほど幸せな人だと思うのです。今年も残り一ヵ月となりました。自らのつながりを再確認し、感謝の心を深めて新年を迎えたいと思います。




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