本当の合掌とは

 お坊さんといえば合掌のイメージがありますが、形だけ手を合わせて頭を下げることはできても、修行が足りず心からの合掌はまだできていないように思います。本当にありがたいと、手を合わせずにはいられないという合掌こそ本物なのでしょうが、なかなかそこまでの心境に至りません。そういった経験を待っていても、いつかめぐってくるというわけではありません。大切なことは、そういった気持ちを持つことだと思うのです。


 出会いへの感謝、平穏な日々への感謝、命への感謝など、けして特別なことではなく、あたりまえとも思えるようなことをありがたいことだと本気で思えるからこそ感謝の気持ちが芽生えてきます。アルバイト先で命じられたからと、心にもない「ありがとうございます」を100万回言っても感謝の気持ちは育まれません。自分が心からありがたいと思うからこそ、本気の「ありがとうございます」が言えるのです。


 日々の生活を考えてみるならば、あたりまえのことなどひとつとしてありません。元気に目が覚めることさえ毎朝の奇跡と考えることもできます。そして為すべきことがあり、家族や友人と語らい、美味しい食事をいただき、大過なく過ごせれば、素晴らしい一日です。そんな日々の生活に飽きて不満を募らせるのが不幸の原因になります。けして飽きることなく日々の奇跡に感謝するのが合掌です。手を合わせずにはいられない感動と感謝をいつも心に抱くならば、その人ほど幸せな人はいないことでしょう。日々の「ありがとうございます」に心を込めたいものです。



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