昔話に学ぶ真理

 昔々、ある山奥の村に貧しい身なりをした飢えた男がやってきました。その男は食べ物を求めるのですが、誰もその男を助けようとはしませんでした。しかし、同じように貧しく周囲から嫌がられていた村娘が自分が持っているパンを分け与えて助けました。後日、その男はきらびやかな衣装をまとい、助けてくれた娘の前にあらわれました。実はある国の王子だったのですが、盗賊に襲われ身ぐるみをはがされ、さまよっていたのでした。貧しい娘は王子様と結婚して幸せに暮らしました。


 私が勝手に作ったものですが、人生におけるひとつの出来事が、その後の人生にどのような影響を与えるのか。神仏ならぬ我々には予測できないものです。良かれと思ってしたことが、かえって事態を悪化させることがあります。どうして私ばかりが貧乏くじを引くのかと涙したのが10年後にはそのおかげで幸せになっているかもしれません。どうなるかは分からないからこそ、見返りを求めることなく、誠実に向き合うことが大切だと思うのです。


 誰の人生にも必ずチャンスや転換期が訪れます。ですが、そういったものは豪華な衣装をまとってやってくることはありません。逆に誰もが嫌がる姿で訪れるかもしれません。それを嫌がって逃げてしまえば、せっかく機会も失われてしまいます。どのような姿のものであれ、選り好みすることなく大切に扱うことのできる人だけが、幸せになれるのです。昔話を読めば、意地悪や貪欲なおじいさんは痛い思いをして、心の美しい娘は幸せになっています。これは現代にも通じる真理ではないかと思うのです。



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