平常心是道

 以前、客間にかけている掛け軸について書かせていただきました。今回はもう一つの客間にある掛け軸についてです。それが「平常心是道」です。よく平常心の大切さを説いた言葉だとされています。何事においても緊張することなく、油断することなく、いつもの気持ちで真摯に臨むことが大切です。心が揺れてしまうと、私達は本来の力を発揮することができません。スポーツばかりではなく、仕事も人間関係も気持ちの揺れひとつで大きく違ってきます。普段から力を磨くことも大切ですが、その力を発揮できる精神修養も必要なのです。


 この言葉には、もう一つの意味があります。それは平等で、常恒なものを求める心を持つならば、自ずから進むべき道が見えてくるという意味です。すべての人に平等にあてはまり、いつの時代でも変わらないものを求めれば道が開けるということです。いわば真理といえるものです。たとえば生老病死や喜怒哀楽がそうですし、人間関係や子育てなども人や時代を問わず、大切なことは不変なるものです。 


 こういったものと、どのように向き合っていくかで人生が大きく変わっていきます。振り回されるばかりならば、人生も漂流するばかりで、自分が望むところにはたどり着けません。生きていくなかで誰もが経験することから、どのように学んでいくかが大切なのです。バタバタ・イライラの時代にあっても、大切なことを疎かにせず大切にしていくことで、人生は豊かなものになるのです。本一冊を読むことも大切ですが、今日一日を大切に生きることのほうが、さらに尊いのではないかと思います。学びとは日々の生活のなかにこそあると思うのです。


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